この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

YouTubeで移住失敗したという投稿を見たので。
アラフィフとうちゃん、移住じゃないけどね。
16年前に転勤で福岡のプチ田舎に引っ越した経験がある。
その時、都会から地方への移住って、マジで難しいな〜と身を以って経験した次第。
リストラとうちゃん、たまに地方移住について考えてます。
アラフィフとうちゃんの地方移住。

アラフィフとうちゃん、2007年に辞令が出て福岡へ転勤。
福岡、なんか面白そう・・・。
辞令が出た途端、僕はネットで福岡の土地を調べまくった。
それまで、福岡って行ったことも無かったから、どんな土地か全く知らなかったからね。
都会でもあり、田舎でもあり(自然がたくさん)、食べ物が美味しい。
要約するとそんな感じ。
なんか面白そうじゃん。
昔、サーフィンをやっていて現在はバイクに乗っているアラフィフとうちゃん。
(当時はバス釣りはまだしていなかった)
どうせ転勤で引っ越すのなら、家は海が近い所。
海沿いをバイクで走りたいし、何より毎日、大好きな海のそばで暮らしたい。
そう思い、福岡市の外れ、西区の今宿という所に平屋の一戸建てを借りる事にした。
その平屋の一戸建て、めちゃくちゃ古いんだけれど、日本庭園みたいな庭、それに面した部屋には雪見障子と、とにかく和風旅館みたいな風情のある家だった。
もう引っ越して早々、我が家はテンションは上がりまくりだ。
家から歩いて5分くらいの所に海水浴も出来る砂浜がある。
そして、バイクや車で30分も走れば糸島だ。
そこはまるでリゾート地かと思うほど、綺麗な海が広がっている。
温泉だって近いし、やっぱり食べ物は肉も魚もそして野菜も美味しい。
給料をもらいながら、こんなリゾート地みたいな所に住めるなんて幸せ〜って感じだった。
でも、それも長くは続かない。
僕らが住んでいたのは平屋の一戸建て。
周りも同じような住宅地で、もう昔からずっとそこに住んでいる人たちが暮らしている。
そんな土地なので、自治会やら地域活動はハンパなく活発だ。
多分、マンションじゃなくて平屋の一戸建てに引っ越して来たので、地元の人たちは僕らがずっとそこに住んで、地域に溶け込んでいく、つまりその土地を支えて行く次の世代の人と思っていたんじゃないかと。
普通、転勤族って築年数が経った平屋の一戸建てなんて、借りないからね。
でも、僕は福岡の土地に深く根を下ろすつもりは全く無かった。
転勤の間、神奈川では味わえないリゾートライフのようなものが楽しめれば程度にしか思っていなかった。
だから地元の人とは付かず離れずという距離感をキープするように努めた。
そんなある日の事。
休日の早朝、バイクで唐津までひとっ走りして帰って来た。
GPZ900Rを軽く清掃をしていたら、顔見知り程度の近所の人に声をかけられた。
彼は当時の僕とあまり年齢が変わらないかなって感じ。
いいね〜、こんなバイクに乗れるって。
俺の給料じゃこんなバイク、乗れないよ〜。
東京から来てるって事はいい給料、もらってるんでしょ?ね、いくら?
いや、マジでドン引きである。
最初、喧嘩を売ってるのかと思った。
いくらなんでも他人に、それもあまり話をした事がない人に対して、いきなり給料いくら?である。
近所であれば、そういう事って聞いても平気っていう文化なんだろうか。
神奈川では、どんなに旧知の仲であっても給料いくら?っていうのはない。
あまりにもデリカシーが無さ過ぎる。
一度、許すと入って来て欲しくないボーダーラインはどんどん後退してしまう。
それからだ。
アラフィフとうちゃんが地元の人たちと一層、距離を取るようになったのは。
それを間違いなく近所の人たちは察した。
向こうもこちらに接する事はなくなった。
(嫌がらせみたいな事をされるというのは、全く無かったけどね)
関東の人間として、福岡は土地としての魅力的な印象は今も変わっていない。
今でも福岡には「観光」として時々、行きたいなとは思う。
でも、移住は無理だ。
移住失敗の理由。移住者、行政、そして地域。

移住失敗の一番の理由は、なんと言っても移住者にあると思う。
一番多い理由は、不十分な知識しかないのに、移住を決行してしまう事じゃないかな。
スローライフ、癒し、豊かな自然・・・。
SNSなんかで見かける、地方での魅力的な暮らし。
言い換えれば上っ面な情報だけで、ああ、なんか楽しそうと判断してしまっている。
それと移住における心構えが甘いという事。
その土地に根ざすのであれば、やっぱり地元の人に受け入れられる必要がある。
地方に行けば行くほどそこでの風習、文化は東京のそれとは違う。
それなのに東京のスタンダードをリセットせずに、地域に溶け込もうと言うのはやはり無理がある。
もう一つ、思うのは行政のお粗末さ。
移住者支援事業と言いつつ、行政にはそれをサポートするノウハウが全くないという事。
とにかく、移住を促進して住民を増やさないといけない。
その想いだけで移住者支援事業と銘打って、都会からの移住者を募る。
でも、いざ移住者が来た所で、それを受け入れる器が全然なっていない。
もちろん、住宅、仕事なんかは紹介するのだろうけどね。
でも、そこまでだ。
後は勝手にやってね、状態。
それでは、地元民と移住者の間にあるギャップは絶対に埋まらない。
地元民にしてみたら、移住者はよそ者でしかない。
言い換えると信用出来る人かどうか、分からないという事。
どこから来たのか分からない人を自分たちが長く守って来た土地に迎え入れて、本当に大丈夫か?という思いは絶対にあるはず。
僕に給料いくら?と聞いて来た人。
あそこに長く住んでいる住民にとっては、あそこの家のご主人の給料はいくらで、こっちの家はいくら・・・という事をその地域に住んでいる人ならみんなが知っているのは当たり前の事なのかもしれない。
それに対してアレルギーを起こす僕の方こそ、おかしい。
軸足を福岡に移り住んだ僕に置くのではなく、地元の人の目線に置き換えるとそう考える事も出来る。
神奈川で生まれ育った僕からしてみたら、他人に給料いくら?と聞くのって相当ヤバいレベルで、まさかそんな事を聞かれるとは思ってもいない事だ。
想像もしていない事なので、実際にそれを聞かれるととてつもないショックを受ける。
で、こっちもガードを固めるから、当然、地元民もこちらに寄り付かなくなる。
僕は転勤という期間限定の移住もどきだったから全然、問題なかったのだけれど。
だけれども、普通、移住というものは失敗は許されないはずだ。
移住にはお金、労力、時間など、やり直しが効かない事が多いからね。
こんなはずじゃなかったと移住してから思うのは最悪だ。
移住というキーワードを見渡してみると、どうも失敗というケースがとても多いように思う。
要はミスマッチだ。
その土地では現実的にそれがあり得るのだから、行政は移住者促進プロジェクトを成功させようとするのならその辺もしっかりとケアしないとね。
アラフィフとうちゃん、モツ鍋を食べて冬の寒い休日を過ごす。