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死んだ時、あの世には何も持って行く事は出来ない。
けれど、リストラ寸前のとうちゃんには墓場まで持って行かないといけない物がたくさんある。
果たして、僕はかあちゃんに葬式をあげてもらえるのだろうか??
バイク、お店でステッカー貼ってもらった。

一度、クラッチのマスターシリンダーからフルードが漏れて、タンクの塗装が剥げてしまった事がある。
僕が入院していた最中の出来事で、久しぶりにご対面したGPZ900Rの無惨な姿を見て打ちひしがれてしまった。
さて、どうしよう・・・。
塗装はフルードのおかげで塗装はすっかりと剥がれて、タンクの鉄の部分が完全に露出した状態。
そうなると、もうオールペンしか選択肢はない。
オールペンとなると数十万円もかかる。
一応、その頃の僕はブログの広告収入で、それなりに潤っていてオールペンの費用を捻出するのはそれほど難しい話じゃなかった。
問題はそのお金の出処である。
ウン十万円を自分でポンと出したとかあちゃんにバレたら、大変な事になる。
とうちゃん、そんなにお金持ってるんなら・・・。
多分、事ある毎に彼女は僕にそう言うだろう。
その時、僕は意味ありげな笑みを浮かべる彼女の顔が脳裏に浮かんだ。
かあちゃんも一応、バイクの免許を持っている。
それも普通自動二輪だけじゃなくて、大型自動二輪免許も、だ。
だけど幸いにもバイクに関する知識はこれっぽっちも持ってない。
今だに単気筒、2気筒、マルチの違いなんて理解していないのが現状だ。
多分、バイクって彼女には全部同じに見えてるんじゃないだろうか。
そう思えるほど、かあちゃんはバイクそのものに疎い。
あれ?Ninja、どうしたの?
僕のバイクがない事に気付いたかあちゃんが僕に聞いて来た。
ん?Ninja?ああ、今ねオリジナルのステッカー、作ってもらってるの。
僕はかあちゃんにスカした顔をしてそう答えた。
その後、Ninjaはノーマルのカラーリングから大きく変わって、キャンディレッドを纏って帰って来た。
どうやらかあちゃんは今でも、それがステッカーによるものだと信じているらしい。
HYODの革ジャン。これ、合皮だよ。

身長173㎝。
40代後半の頃、一時期体重が70kg目前まで肥えてしまった。
これはいけないと一念発起して始めたダイエット。
もともと、凝り性の性格をしている。
やると決めたらなんでもトコトンやる性格だ。
おかげで半年で10kgくらい減って、最終的には50kg台にまでなった。
それはそれで嬉しいのだけれど、ダイエットに成功すると一つ、困った事が起こる。
そう、洋服の類だ。
10kgも痩せると、それまでのワードローブはことごとくダボダボの状態になってしまう。
それ以来、僕は懲りてダイエットをしなくなったのは言うまでもない。
バイクウェアも同じ事。
ライディングジャケット、パンツはどれもダボダボになってしまいもはや着用不可能。
バイクに乗る時のウェアは安全に関わる物。
ダボダボの物を着ていたら、いざと言う時に自分の体を守ってくれない。
バイクに乗り始めた頃から、一つの憧れを持っていた。
それは革ジャンだ。
バイクに乗るのなら、革ジャンの一つや二つ、持っていなくてどうする。
かあちゃんに革ジャンが欲しいと言うと、革は手入れが大変だよ〜といつも嗜められていた。
そりゃ、そうかもしれないけれど、僕に言わせれば、そういう手入れの手間とかも男のロマンってもんだ。
そんな事で、思い切って革ジャンと革パンを買ってしまった。
HYODの物なので、上下でそれなりの金額になった。
僕の部屋にぶら下がっているHYODの革ジャンと革パン。
それを見ているかあちゃんを見て、僕は彼女にこう言った。
あ、それね。合皮だから。
僕の言葉に彼女は反応をしなかった。
バス釣りのタックル

2017年に動脈乖離と動脈瘤の大病をして以来、僕は毎月、国立病院に通って検査を受けている。
主治医からは血圧のコントロール、食事、そして運動はきちんとしないと・・・と毎回、指導を受けている。
一応、昔から運動はいろいろとやっている方だった。
それでも休日には運動をするけれど、平日は仕事にかまけて運動不足がちになってしまう。
しかもコロナ禍になってからはリモートワークが中心。
日によっては全く家の外には出ない事もあったりして、どうしても運動不足になりがちだ。
僕の場合、運動不足は自分の命の問題に直結してしまう。
これは他人からどうこう言われて行動を起こしていたのでは、遅過ぎると思った。
なんで、移動は車じゃなくて自転車でしようと電動アシスト自転車のオフタイムを買った。
これ、なかなかいいね。
その行動範囲の広さはもはや自転車を超えている。
そして新しく釣りも始めた。
僕の住んでいる所から相模川が近くて、そこではブラックバスが釣れる。
バスフィッシング。
昔から憧れていた部分がある。
バス釣りは釣れる所を探して、あちこち動き回る釣りでもある。
運動として考えても僕にはちょうどいい。
それにバス釣りって、そのタックルがいいんだよね。
ロッド、リール、ルアー・・・。
バイクとかカメラが好きな僕にとって、バス釣りのタックルはそれらと同じくらい所有感を満たしてくれる。
最初はスピニングだけにしようと思っていた。
けれどネットでいろいろと見ているうちに、ベイトの造形美にやられてしまったんだ。
どうせやるんなら中途半端は良くないよね。
そう思って、僕はスピニングもベイトも両方、Amazonでポチッとした。
僕の部屋の片隅にある2本のロッドケース。
まだ、かあちゃんはそれに気付いていないようだ。
あれ?釣竿、2本買ったの?
かあちゃんからそう聞かれたら、なんて答えよう。
- ううん、2つ目のケースに入ってるのは網だよ。
- そのケースは空で、予備のケース。
- 1本の釣竿を2つのケースに分けてるだけ。
一応、今の所、こんな言い訳を考えている。