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リストラとうちゃん、2017年に動脈瘤、動脈乖離という大きな病気をして以来、健康管理が人生の大きな課題である。
月イチで国立病院に行って、ほぼ半日かけていろんな検査を受けてる次第。
主治医からは血圧に悪いからと塩分は控えめ、適度な運動をするようにと毎回の診察の度にご指示を頂戴している。
そして今日、その月イチの検査を受けに病院へ。
病院への往復は片道30分かけて歩いてテクテクと。
ここまでは涙ぐましいアラフィフの健康管理なのだが・・・。
健康管理、ストイックになり過ぎるとストレスに?

もともとリストラ父ちゃん、その性格はわりとストイックであったりする。
何か一つをすると決めたらとことんやるタイプ。
中二で始めたサーフィン、学校にも行かず波乗りに明け暮れたし。
30歳半ばで乗り始めたバイク、もはや愛車にかけたカスタム費は高級外車を余裕で買えるほど。
かあちゃんにはとても言えないけど。
そんなんで、手術を終えてしばらく自宅療養していた頃は、自分で決めた健康管理に邁進していた。
口にするものは何キロカロリーあって、塩分はどれくらい?
運動は毎日、ウォーキングを1時間。
しばらくそんな生活を続けていたのだけれど・・・。
そんな折。
かあちゃんが僕に一言。
「ストイックになるのも良いけれど、逆にストレスになって血管に良くないんじゃない?」
なるほど、それもそうかもしれない・・・。
大好きだったラーメンも食べるのをやめていた。
それもかあちゃんにそう言われると、自分になんか、無理をし過ぎていたような気に急になってしまった。
そんな事で、無理な健康管理は辞める事にした。
もちろん、ラーメンなんかはなるべく控えるようにしている。
それまで月イチでラーメン二郎に行っていたけれど、今ではすっかりご無沙汰だ。
出来れば、っていう範囲でラーメンを食べても、スープは完飲しない。
ただ、それもストイックに健康管理をしていた頃に比べると、今はかなりユルユルだ。
とんかつことぶき@小田急相模原

リストラとうちゃんが通っている病院は小田急線の小田急相模原にある。
駅から病院までは徒歩10くらいかかるのだけれど、血圧をコントロールしなければならない病人にとってはこの通りはかなり酷な立地条件だ。
駅と病院のちょうど中間地点にはラーメンショップ、いわゆるラーショがあった。
ラーショは最近流行りの意識高い系ラーメン屋とは全く逆方向にベクトルを向けたラーメン屋だ。
で、僕は意識高い系よりそっちの方が好きだ。
ラーショの中には金曜日とか、決まった曜日にラーメンデーなるものをやっているお店がある。
ラーメンデーの日は、ラーメンがサービスプライスとなる訳だ。
そんなラーメンデーに病院での検査の日が重なると、どうしても帰りに寄らずにはいられない。
ラーメン、半ライス、そしてビール・・・。
いつもラーメンを食べている時、主治医がフラっとお店に入って来ない事を祈りながら僕は麺を啜ったものだ。
残念ながらそのラーショは閉店してしまった。
けれど、元来食べる事が大好きリストラ父ちゃんは、ラーショがなくなったとなると、当然の流れとしてネットで他のお店を探す事に。
すると割とさびれた空気が否めない小田急相模原の街にも、リストラ父ちゃん好みの昔ながらの頑固なお店というものが結構ある事に気が付いた。
そんなお店のひとつ、それがとんかつことぶきだ。
このお店から、実はかあちゃんの実家が近かったので、「かあちゃん知ってる?」と聞いてみた。
「知ってるよ。子供の頃、よく行った」
と、かあちゃんの返事。
結婚して20年近くになる僕とかあちゃん。
かあちゃんは僕の好みなんぞはよく知っているはずだ。
「なら、早く言ってよ〜」
という言葉が喉元まで出て、すんでの所で止めた。
とんかつことぶき、なかなか侮れないお店である。
相模原にはとんかつの有名どころに「とんかつ赤城」というお店があるが、全てにおいてそれと並ぶクオリティだ。
それ以来、僕は検査の終わった後、主治医に見つからない事を祈りながら、とんかつことぶきの暖簾をくぐるようになった。
とんかつことぶき、カツ重(上)とビールがいい

僕はラーメンも好きだが、カツ丼も好きだ。
美味いと言われる蕎麦屋に行くと、マジでカツ丼にするか蕎麦にするか迷う事がある。
美味い蕎麦屋のカツ丼は、ハズレがないからだ。
カツ丼を食べながら飲むビールは最高だ。
しかもそれが昼間からなら、言う事はない。
さて、とんかつことぶきのカツ重はどうだろう?
人生のポリシーとして、意識高い系な部類はあまり好きではない。
だからカツ重よりカツ丼の方が僕の性に合っている。
だけど、とんかつことぶきはそもそも、店全体が意識高い系の部類ではないので、カツ丼がなくてカツ重であってもそれは大した問題ではない事になる。
断っておくけれど、とんかつことぶきが意識高い系ではないからと言って、供されるものが低品質かと言うと、それはそうじゃない。
それはお味噌汁を飲むとすぐに分かる。
中に入っているワカメ。
明らかに国産の上質の物だ。
肉厚のワカメで歯応えもいい。
外国産のワカメだとこうは行かない。
カツ重の上は、とにかくカツが分厚い。
分厚いカツなのだけれど、揚げ方が絶妙なので口に入れるとサクッと噛み切れる。
そして口の中にはカツに染みた甘塩っぱい出汁の味がジュワッと広がる。
ビールを飲みながら、カツ重を口に頬張る。
こんな最高な時間はそうそうない。
もし、僕が病気にならずに、この病院に通う事がなかったとしたら、とんかつことぶきにはきっと、来る事はなかったと思う。
病気を治すために通う病院。
その通院の傍ら、せっせとカツ丼に舌鼓を打っているリストラ父ちゃん。
果たしてこの健康管理は正しいのだろうか。
